「おかしくもないのに笑えません」
三船敏郎と言えば、かつて「世界のミフネ」と呼ばれた
日本映画界の大物スターだった。
その苦み走った演技と風格のある存在感は誰もが認めるところだった。
冒頭のセリフはそんな三船が東宝の第1期ニューフェースの
オーディションを受けた時に発した言葉である。
ムスッとした顔で面接に臨んだ彼を見た担当官が
「君、ちょっと笑ってみなさい」と言った。
すると、三船はこう言ったのだ。
「おかしくもないのに笑えません」
結果は見事合格だった。
見所のある男だと判断されたのである。
どんな場面でも妥協せず、自分を貫く。
納得できないことはやらない。
それが逆に評価される。
人間の魅力とは、そういうものだ。
とはいえ、なかなか真似できないんだけどね。