「あんた、何で私の好きな顔に生まれてきはった」
大正から昭和初期にかけて活躍した関西の喜劇役者、
曽我廼家蝶六の殺し文句である。
とぼけた味に富んだ芸風が持ち味の蝶六は、
舞台へひょっこり顔を出すだけで笑いがくる天分の持主だった。
あの菊地寛が劇評のなかで「蝶六は天性の喜劇役者」と評したらしい。
「あんた、何で私の好きな顔に生まれてきはった」というセリフには、
まさにそんな蝶六ならではの味わいがある。
しかも、しっかりと口説き文句なってるし、
相手の女性に運命のようなものを感じさせる威力すらある。
恐るべし! 蝶六。