10倍融資の甘い文句で600億近い金を集めた「投資ジャーナル事件」
「金儲けするには金儲けしたいと思ってる人を狙え」という言葉があるが、世の中そんなにおいしい話があるものではない。だいたいホントに儲かるなら、誰も人には教えたりはしないはずである。
かつてマスコミをにぎわした「投資ジャーナル事件」はそんな金儲けの甘い罠をちらつかせた詐欺犯罪であった。主宰者の中江滋樹氏(当時31)は巨額な資金を元にハデな仕手戦を展開し、アイドルタレントとの裏交際でも話題になった人物だった。
当時、彼は「持ち株を担保の10倍まで融資する」という「10倍融資」方式で、計584億円余りの巨額な資金をかき集めた。そのうち404億余円が詐偽の発覚を防ぐために客に払い戻しされたが、未払い分はなお179億余円も残り、捕まることになった。
この「10倍融資」方式を始めたそもそものキッカケは実は自らの株による損失を穴埋めするために考え出したものだったのだ。中江氏は昭和56年に株の仕手戦で失敗。7億円近い累積赤字を抱え込んだことから、「一獲千金」をねらって効率的な資金集めを計画したのである。
実際、彼は社員に「客には手じまいを要求した時に金を返せばいい。呑んでもかまわない」などと語っていたというから、いかに場当たり的な犯行であったかがわかる。ちなみに、「呑む」というのは競馬のノミ行為と同じで、資金だけ預かって株を買わないことである。
これらの金の一部は、政界工作費や、捜査情報収集費などとして、数人の政治家、官僚、警察官に流れたとされるが、結局甘い汁を吸うのはいつもこうした大物フィクサーばかり。損をするのはいつも庶民なのだから、つくづくイヤになっちゃうよね。